桜木町駅・旧横濱鉄道歴史展示(旧横ギャラリー)の開業レポート
2020年6月27日に桜木町駅新南口とともにオープンした、旧横濱鉄道歴史展示(旧横ギャラリー)の開業レポートです。
●どんなところ?
明治5年に新橋〜横濱間開業時の横浜駅舎跡地に出来た商業施設の、
ビル共用部に新たに出来た展示スペース。
●何がすごい?
・職員教材用として内部構造がわかる様に切開されたまま、長らく青梅鉄道公園にて屋外展示されていた110形機関車が綺麗に修復・復元され展示されることになったこと。
・ここ10年以内に発掘された資料を元に、忠実な最古客車のレプリカが作成されたこと。
・1/150の開業時の横浜駅周辺を再現した素晴らしいレイアウトが作られ展示されていること。
では細かく色々見てみましょう。
●110形機関車
![]() |
| 横から |
110機関車は英国ヨークシャー社製で、
1872年に日本初の京浜間鉄道開業と同時に日本へ輸入された機関車です。
各所で活躍した後、大宮工場で職員研修用に蒸気機関車の仕組みを教える教材として右半分を大きく切開されたまま青梅鉄道公園に移動、穴も塞がれぬまま惨めな形で屋外展示されてきました。
今回、この展示スペースの開業にあたり、
1909年以降の明治後期の仕様(110形として称号改定後)の姿に復元され、
切削部分の穴埋めのほか、煙突キャップやドームなどがFRPで新たに作成されています。
修復箇所がわからないほど丁寧に復元されていますね。
これだけしっかり復元されているのにバッファー頭が赤く塗られているのは残念ですが。。
![]() |
| 青梅鉄道公園時代の110形機関車。 あまりにも惨めな姿に、こちら側の写真は1枚しか撮影してなかった |
![]() |
| 展示のビデオより修復過程写真。 |
![]() |
| 近くには寄れないですがキャブ内も綺麗に整備されています。 |
●レプリカ最古客車
![]() |
| イチから精巧に作られたレプリカ最古客車 |
110形機関車の後ろには、京浜間の開業時に使用された中等客車のレプリカ【中等車ろ9号】が新たに製造され展示されています。
この姿をみて、「あれ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
皆様が想像する形はこんなのではないでしょうか?
![]() |
| 交通博物館→鉄道博物館に展示の【鉄道創業期の客車(レプリカ)】 |
コンパートメント形で軸距離の短いこんな形のイギリス形客車が、
近年まで【鉄道開業時の最古客車】として伝えられてきました。
こちらは1921年(大正10年)に出版された【日本鉄道史 上】などを元にレプリカが作成されているからだと思われます。
![]() |
| 【日本鉄道史 上】の【最古客車圖】 |
ただ、この客車が【最古客車】ではないのではないか?という異論は以前より唱えられていました。
それらは近年まで異説程度にしか語られていなかったのですが、
ミヒャエル・モーサーというオーストリア人が開業目前の横浜駅を撮影した写真が
2013年に発掘・新聞に大きく掲載され、この客車は京浜間(鉄道開業時)の客車でない事が改めて確認されたのです。
※現在ではこのコンパートメント形客車は2年後の阪神間開業時の客車のものとされています。
![]() |
| 旧横ギャラリーと同じタイミングで開設された新南口改札にはミヒャエル・モーサーの写真が |
参考までにこれらの写真は、
【高精細画像で甦る 150年前の幕末・明治初期日本 ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション】
という本でまとめられていますが、今では完売してプレミアも付いているようです。(鉄道系の写真は数枚だけだそうですが)
この資料を基にした新しい考証で2016年頃、
古典客車の模型を設計製造しているIORI工房さんがNゲージ・16番スケールで「最古客車シリーズ」を展開し、
少しずつ本当の【最古客車】の姿が認知されてきました。
この客車の形が本当の【最古客車】だということが知れ渡ったのは本当に最近の事なんです。
![]() |
| 客車の説明板 |
そんな、ここ5年程度の新たな考証を基にイチから復元されたレプリカ客車、
驚く事に、どうやら一部の部品は英国から輸入した中古部品を使っているようなんですよ!
![]() |
| 車軸軸受部分、「LNE」の彫刻が |
これはIORIさんのツイートをみて気付いたのですが、
車輪軸受部分に「LNE」という彫刻があるんです。
どうやらイギリスにかつて存在した鉄道会社、リーズ・ノーザン鉄道からの部品のようです。
他にもねじ式連結器や車輪などが輸入され使用されているようで、
渡来品の、同年代の客車の部品が使われているというのは、少しロマンを感じます。
近年の研究で新たに出てきた資料を基にして、ここまで緻密に製造されたレプリカ客車が出てきた事に、驚きとともに、とても感慨深いなぁと思います。
ちなみにですが、
この客車の新考証を広めたIORI工房さんより模型製品も発売されています。
IORI工房の最古客車基本セット↓
Nゲージ
https://iorikoubou.cart.fc2.com/ca3/75/p-r-s/
16番スケール
https://iorikoubou.cart.fc2.com/ca13/67/p-r-s/
●1/150 横濱停車場レイアウト
この展示スペースのもう一つの目玉は、1/150(Nゲージスケール)で作成された
横濱停車場周辺のジオラマです。
幕末のすぐ後、明治初期の街の姿、横濱停車場の駅施設がとても精密に作られています。
人形の一つ一つまで生き生きと作られているのに
大きなサイズで広々と作られたジオラマに思わず惹き込まれ圧倒されます。
バラストの盛り方まで明治仕様なのにも驚きますし、
窓ガラスの貴重な時代の、昭和の建物ともまた違う幕末〜明治の日本の建物もしっかりと再現されていて脱帽です。
最近一部でブームとなっている明治鉄道模型ジャンルにおいての
ジオラマ製作にも大いに参考となるのでは無いでしょうか?
●その他の展示
最新の考証を基に京浜間開業時の機関車の模型が展示されています。
錦絵や写真の濃淡、メーカーの証言などを基に当時の色などが模型で再現されています。
110形って開業時は黄色っていうのがJRの今の考証なんですね。。ちょっと驚きました。
![]() |
| 横濱駅跡地という事でパネル展示には駅舎内の内部模型も |
![]() |
| パネル展示にはミヒャエル・モーザーの写真で明らかになった通称【謎車】についても! |
その他、双頭レールが使われていたり、バラストが高い位置まで盛られている明治仕様だったり、明治時代の腕木信号機が再現されていたりと、色々お話ししたい部分はあるのですが、
書ききれないのでこの辺にしておきます。
しかしながら、期待を持たれすぎては悪いのであえて言いますが
あくまでビルの共用部なので展示はこれしかありません。
![]() |
| 初日配布されていたチラシ |
ビルの1階のエレベーターホールの一角にあるようなイメージです。隣は成城石井。
それでも、小さいスペースに濃い展示が詰まっているので、一見の価値はあるとは思います。
また、ビルの共用部なので深夜23時まで見学でき、仕事帰りにも気軽に寄れます!
![]() |
| 2階のスタバでは機関車を眺めながらくつろぐ事ができます。こんな展示も |
展示室ということで、しっかり見てもそれほど規模が大きくは無いのですが、
それでもこの時代に、これだけの規模であれだけのレプリカ客車と、あの歴史的な場所に、
これだけの展示が出来たことが自分としてはちょっと嬉しく、
明治鉄としては、とっても楽しかったです。
ぜひ、興味のある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか?
-----------------------------------------------------------
●おまけ
横浜に行った興奮のまま模型を買ってしまいました。。
罪庫溜まりまくってるのにどうしましょう。。笑


























分かりやすいレポートありがとうございます。今は名古屋住みなのでなかなか訪問出来ませんが将来訪問時の予習としてとても参考になりました。
返信削除ご返信ありがとうございます!
削除なるべく網羅的に書こうとしたため、
あまり語れていない部分もあるので、ちゃんと見てもらいたいです!
コロナが落ち着いた折、ぜひ訪れていただければいいなと!僕としてはとても楽しめる場所でした!